2016/05/15
pico3
こんにゃく=食物繊維が豊富で便秘の解消に良い食べ物というイメージがありますが、実はこんにゃくの摂取過多でかえって便秘が悪化することがあります。こんにゃくの食物繊維の役割と便秘解消に繋げる為の良い食物繊維の取り入れ方についてご紹介します。
こんにゃく芋
こんにゃく芋は見た目はごつごつしていて、皮をむくとさといもと同じように粘りが出ます。
こんにゃくの主原料、こんにゃく芋はさといも科の夏緑多年草植物です。土の下にできる地下茎の部分をこんにゃく芋と言います。原産地はインド・インドシナ半島です。現在は東南アジアに広く分布しています。生のこんにゃく芋はエグ味が強いので食べる為に茹でるなどの下処理が必要な食べ物です。
こんにゃく
こんにゃくは板こんにゃく・糸こんにゃく・玉こんにゃくなど様々な形状のものがあります。
こんにゃくはこんにゃく芋に含まれるグルコマンナンという多糖類を取り出し、水酸化カルシウム溶液を加え固めたものです。一度固まると再び溶けることはなく、ぷにぷにとしたこんにゃくの触感が失われることがありません。食物繊維が豊富なことなので近年はダイエット食として、また健康食としても人気があります。
日本にこんにゃく芋が来たのは6世紀中頃で食用としてではなく薬用として中国から輸入されました。その後、鎌倉時代までに食品として食べられるようになり、主に精進料理で使用されました。庶民が食べるようになったのは江戸時代になってからです。
グルコマンナン
グルコマンナンは別名をコンニャクマンナンといいます。
こんにゃくのおよそ97%は水分です。水分以外の主成分はグルコマンナンという水溶性食物繊維の多糖類です。グルコマンナンはこんにゃくに主に含まれているので別名をコンニャクマンナンといいます。人間の消化器官ではほとんど消化のできない成分である為、カロリーが低い食品とされています。
便秘は辛いですよね
食物繊維が豊富なこんにゃくを摂取することで便秘が必ず解消されるわけではにないことを知っていますか?
こんにゃくは食物繊維が豊富なので便秘解消に良いとされる食品の一つです。しかし実はこんにゃくを多量に食べることでかえって便秘を悪化させてしまう事がある事をご存知ですか?こんにゃくに含まれる食物繊維の取りすぎには注意が必要なことがあります。
便秘の定義
便秘=毎日の排便というわけではありません。毎日排便がなくても便秘ではない人もいます。
便秘とは「毎日排便ができていないこと」だと思っている方がいるかもしれませんが、週3回以上排便ができていてなおかつすっきり感がある事が重要です。便が柔らかい状態なら大腸が元気な証拠です。しかし毎日排便があっても量が少ない・便が硬い・すっきり感がない場合は便秘といえます。
横行結腸でのぜん動運動が弱く、便を先に送り出せなくなると便秘が起こります。これを弛緩性便秘といいます。デスクワークの時間が長い人、運動をしない人などがなりやすい便秘がこの弛緩性便秘です。
下行結腸でのぜん動運動が強過ぎて、腸がけいれんを起こすのが痙攣性便秘です。痙攣によって便がスムーズに進まなくなり便秘になります。ストレス過多な人や、リラックスができない、常に緊張したままの人がなりやすい便秘です。
排便のリズムが乱れている為、便が直腸にたどり着いても便意が起こらない人がいます。そのような症状の便秘を直腸性便秘といいます。外では排便をすることを我慢したり、トイレの時間を確保できない人に多い便秘です。
食物繊維が多い食品のイメージ
このような食品に食物繊維が多いというイメージですが、食物繊維にも種類があります。
こんにゃくは食物繊維が豊富な食品として便秘の改善に効果を発揮する食品だと言われていますが、食物繊維には2種類ある事をご存知ですか?その2種類は水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維です。この2種類はバランスよく取らないとかえって便秘の原因になることがあります。
水溶性食物繊維を多く含む食品
水溶性食物繊維とは水に溶ける食物繊維の事です。野菜やきのこなどに多く含まれています。
水溶性食物繊維を多く含む食品は野菜・海藻・きのこ・果物・芋です。春菊・大麦若葉・明日葉・アボカド・ひじき・もずく・わかめ・昆布・山芋・納豆・オクラ・イチゴ・柿・桃・イチジクなどに水溶性食物繊維が多く含まれています。
水溶性食物繊維は善玉菌のエサになり、腸内細菌を増やすので腸内環境を正常化するのにとても良い栄養素です。腸内環境が悪くなると腸内でガスが発生したり、腸の動きが悪くなって便秘が起きるので特に摂取したい食物繊維です。
不溶性食物繊維を含む食品
便秘の解消というとどちらかというと思い浮かぶのは不溶性食物繊維を多く含む食品ですね。
不溶性食物繊維を多く含むのは繊維質な野菜や穀類・豆類です。こんにゃく・ゴボウ・そば・ブロッコリー・トウモロコシ・エンドウ豆・バナナ・サツマイモ・大豆・大麦などに多く含まれているのが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は字のごとく水に溶けない食物繊維です。水には溶けませんが吸水性が高く、水を吸収して膨らんで満腹中枢を刺激するので食べすぎを防ぐことができます。また膨らむことで腸を刺激しぜん動運動を活発にします。
日本人に最も多い弛緩性便秘の場合は不溶性食物繊維を摂取することで便秘の解消に繋がりやすくなります。しかし痙攣性便秘の場合は不溶性食物繊維を取りすぎるとかえって便秘を悪化させてしまう事があります。痙攣性便秘の人は過度の不溶性食物繊維の摂取は避けましょう。
食物繊維を摂取するバランスの目安としては不溶性:水溶性=2:1になるようにすることが理想的だと言われています。便秘解消には水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方に役割があります。ただ食物繊維が豊富だからといってこんにゃくばかり食べていては便秘の解消にはなりません。
便秘=こんにゃくではない
便秘の解消に良いと言われるこんにゃくもただやみくもに食べればよいわけではありません。
便秘だからといってただこんにゃくを食べれば便秘解消になるということではありません。それどころか不溶性食物繊維を過剰に摂取するとかえって便秘が悪化することがわかりました。便秘の解消に食物繊維はとても大事な栄養素ですが、食物繊維だけでなく栄養素はバランスよく摂取したいものです。
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