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銀杏(いちょう・ぎんなん)この木に生る実を食べるなら中毒にご用心

炒った銀杏を熱々のうちに殻を剥いて食べた経験がある。香ばしさとほんのりした甘さに混ざる薄い苦みが、一粒を食べ終わる前に次の一粒へと手を運ばせる。銀杏は中毒性のある食べ物なので、たくさん食べてはいけないと数を制限された。いったいどんな中毒になるんでしょう?

美味しいのにたくさん食べると中毒になる銀杏の実

銀杏には多くの栄養素が含まれており、中国では古るくから薬としても食されて来ました。実が熟すと強烈な異臭を放ち、ネズミや猿でさえ食べないと言われています。毒があってもおかしくないほど、臭いで中毒症状が出そうなくらい本当に凄まじく臭いです。最初に銀杏を食べた人って凄いと思います。

銀杏中毒も怖いのですが、熟して落ちた実を迂闊に素手で触れるのも大変危険です。銀杏の果皮に含まれるビロボールと言う成分が原因で、触れた手を介し間接的に触った体の部位にかぶれや皮膚炎等の炎症を起こす事があります。ごくまれに、発疹や下痢等と言ったアレルギー反応が出る場合もあります。銀杏拾いを楽しむ時はゴム手袋の着用は必須です。

中毒にもなるが薬理効果もある銀杏(いちょう)の葉と銀杏(ぎんなん)

春から夏にかけて緑色の葉で覆われる銀杏の木は、秋にはその色を黄色に変え季節の移ろいを身近に感じられる樹木でもあります。扇状の葉を持つ銀杏ですが、松や杉と言った細長く尖った形をした葉の針葉樹の仲間だったとは意外です。

銀杏の葉には【ギンコライド】と【フラボノイド】の2大成分が含まれています。ギンコライドは銀杏の葉にだけ含まれる成分で、血管を拡げ血流を良くする効果があると言われており銀杏葉のエキスはサプリメントとして販売もされています。日本の中高年齢層の間で関心が高まっています。

銀杏葉エキスの効果が期待できる症状

・手足のむくみや末端冷え性
・認知症の改善
・めまい・頭痛・耳鳴り
・高血圧
ドイツでは、一定の基準を満たした銀杏葉エキスが医薬品として認証されていますが、日本では医薬品として認可されていません。健康食品として販売はされていますが、その効能を謳う事はできません。

【ぎんなんの効能】
実の方は、咳・痰・気管支喘息に効果があり、滋養を高める効果があります。

銀杏中毒、毒素の成分

銀杏を食べ過ぎると体に良くないと、子供の頃母に言われた事を覚えています。食べる数も決められその個数以上は食べさせてもらえませんでした。中毒を引起こすと言われても一体どの様な中毒なのか身近な事として感じた事はありませんでした。

銀杏中毒の原因になる毒素

銀杏中毒は明治時代に既に症例が報告されていましたが、長い間原因ははっきりせず青梅に含まれる毒素と同じものではないかと考えられて来ました。しかし研究の結果、中毒を引き起こす毒素は【メトキシピリドキシン】と言う物質である事が解明されました。

銀杏中毒の症状と対処

中毒の要因となる【メトキシピリドキシン】と言う毒素成分は栄養素であるビタミンB6の分子構造に酷似している事が解りました。この物質は脳内の興奮を鎮めるGABA(ギャバ)と言う成分を少なくしてしまう為、神経の興奮を誘発してしまいます。中毒はそれが原因で起こります。

小さな子供は特に危険

中毒の発症・・・摂取後1~12時間後と発症まで時間の幅があります。
<症状>
・痙攣 ・めまい ・意識混濁 ・呼吸困難 ・手足の麻痺 ・不整脈 ・顔面蒼白
・嘔吐 など
※重症の場合は稀に死に至る事もあり、過去に事例として報告があります。

銀杏中毒を発症するのは圧倒的に小児が多い

銀杏中毒で報告されている患者の70%以上が10歳未満の小児です。大人の場合は中毒の原因成分【メトキシピリドキシン】を解毒する酵素が腎臓にありますが、小児では解毒能力が未発達な為中毒を引き起こしやすいのです。

銀杏中毒になった場合の処置

家庭で出来る処置としては余りありません。嘔吐の症状が出た場合は、痙攣を誘発するので吐かせてはいけないそうです。何よりも医者へ行き銀杏を食べた事を話して処置をしてもらう事が一番だと思います。

銀杏中毒の特効薬

銀杏を食べて痙攣や吐き気などの症状が出たら銀杏中毒の可能性を疑いましょう。血中に銀杏の毒素成分が認められたら治療が必要です。その際の特効薬が毒素成分とよく似たビタミンB6です。銀杏の毒素成分以上にビタミンB6を投与する事によって、毒の働きが弱まり中毒症状は治まります。

銀杏中毒になるのは人間ばかりじゃない

過去に、ペットとして飼われいたミニブタが飼い主の目を盗んで銀杏を食べてしまい、中毒になってしまったそうです。その時もビタミンB6を投与し事なきを得たそうです。

銀杏中毒にならない為の適量

銀杏の味は好き嫌いが分かれるところですが、決して幼い子供が好む味だとも思えませえん。どちらかと言うと大人向けの味ではないでしょうか?とは言え、炒りたての銀杏は子供だった私を虜にした味だったのでお子様に食べさせる時は注意が必要です。

※摂取適量※

子供・・・5粒以内
大人・・・20粒以内
あくまでも目安として参考にして下さい。
中毒を発症する場合も個人差がありますので、3粒で症状が出る人もいれば20粒以上食べても中毒にならない人もいます。ただし、子供に食べさせる場合5歳以下は与えない方が得策と思います。

銀杏並木は晩秋を切り取った絵画の様で美しい

雄と雌の木がある生きた化石<銀杏>熟した実の悪臭は、鳥や獣から実を食べらる事を防ぐための防衛本能。毒がある半面、薬効もありと知れば知るほど銀杏に対する見方が変わります。葉を黄色に染めた銀杏並木は、歩いて楽しめ眺めて癒され秋を深く感じさせてくれる樹木です。

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