粉山椒とは全然香りが違う!実山椒の使い方と魅力発見しました
5月頃になると出回る実山椒、使い方はご存知でしょうか?鰻などに使う粉の山椒とは使い方も味わいも全然違います。実ならではの香り高さとしびれる風味を上手に生かした使い方をご紹介します。かけるだけじゃない山椒の魅力を存分に知ってください。
山椒は、北海道から屋久島まで広く分布する低木で、古くから身近な食材として使われていたようです。「山椒は小粒でピリリと辛い」ということわざもあるほどに普段の生活に親しまれていました。山などに自生しているものも多く、夏には赤い実がたわわになっているのを見ることもできます。
花山椒
山椒の香りと辛味は健胃、駆虫などにも効果があり、暑くなる時期の食欲増進や胃もたれにも効くということで、若芽から花、果皮果実、さらには樹皮までさまざまな方法でとりいれられています。ちなみに堅い枝はすりこぎとして最上のものになるそうです。
粉山椒
鰻を食べるとかならずついてくる粉山椒は、熟した果実の皮を乾燥させて粉にしたものです。五平餅やあられ、切り山椒などお菓子・おやつにも広く使われます。七味唐辛子に入っているのも粉山椒です。
実山椒
一方実山椒は、青山椒とも呼ばれる熟す前の山椒の果実のことをさします。しびれるような辛味と芳香があり、ゆでたり塩漬けにしてアクや辛味を和らげてから使われます。実山椒を粉末にしても粉山椒にはならないので注意してください。
生の実山椒
生の実山椒は枝付きのまま売っていることが多く、まずは枝から摘み取る作業から始まります。細い軸の部分はそれほど神経質にならなくても食感には影響しないので、太い軸やいくつも実がくっついているところを外します。
たっぷりのお湯で実が指でつぶせるくらいのかたさに茹で上げます(約5分ほど)。冷水にとり、水を時々変えながら1時間から半日ほどさらします。この工程でアクや刺激がやわらぐので、山椒の辛さが好きな方は短めであげてください。
ゆでてアク抜きをした実山椒は水気をとって袋に入れて冷凍保存できます。また、市販の塩漬けのように実山椒を塩で覆えば長期の冷蔵保存も可能です。
塩漬けの実山椒
市販、もしくは手作りの塩漬けの実山椒は、そのまま使うと塩味が強いので塩抜きをしてから使うのが一般的です。水に30分ほどさらして塩気を調節してから煮物や炊き物にお使いください。
実山椒煮は魚や野菜と相性がよく、醤油・みりんベースの甘辛の味付けにさわやかなアクセントを加えてくれます。作り方もいつもの煮付けの調味料に大さじ1〜2ほど実山椒を(塩漬けの実山椒は塩抜きをした後)加えて煮るだけです。
とくによく合わせられるのはさんまや鰯などの青魚、牛蒡や椎茸など甘みと旨味をもつ野菜です。もちろん鰻や、山のもの同士相性のいい山菜類やきのこも美味ですし、肉類も種類を問わず合わせられます。
兵庫県の有馬、朝倉は山椒の産地で、転じて実山椒の塩漬けや佃煮を使った料理を「有馬〜」「朝倉〜」と呼ばれることがあります。実山椒煮も有馬煮とも呼ばれ、実山椒の使われてる和え物を有馬和えと呼ぶことがあります。
実山椒を醤油ベースで煮付けたもので、佃煮の状態でも瓶詰めなどが流通しています。佃煮になっているものをゆでて塩漬けした実山椒と同じように使うこともできるので、甘みを漬けずに煮るレシピもあります。
みりんや砂糖をしっかり入れた甘辛味ならご飯のお供に食べやすく、おにぎりやお茶請けにもぴったりの実山椒の佃煮になります。
実山椒の塩漬けや佃煮があれば、京都のお土産でも有名なちりめん山椒も簡単に作れます。しらす干しをオーブンで軽く水気をとばしてから酒・みりんでふっくらと煮含め実山椒とあわせます。日持ちするかりかりのちりめん山椒とはぜんぜん違うしっとりとした柔らかさがあじわえます。
実山椒は初夏の短い時期にしか出回りませんが、塩漬けは一年通して手に入れることができます。また、実山椒の旬の時期にご家庭で下準備をして冷凍保存もできます。年に一度、一年分をこしらえるのが行事のご家庭もあります。
刺激的でさわやかな実山椒は料理のアクセントに重宝します。ご紹介した他にもドレッシングや酢の物にいれたり、薬味の1つとして使ったりと使い道はあなた次第です。使い切れない・よくわからないと敬遠せずにぜひ活用してみてください。