奥深いフランスチーズの世界、ちょっとだけのぞいてみませんか？

フランスは、比較的温暖な気候でチーズの生産にとても適していることから、「1つの村に1つのチーズがある」と称されるチーズ大国。世界中に約3000種類ほどあるとされているチーズのうち、400種類以上のチーズがフランス原産。チーズに原産地の地名がついているものも多くあります。

現在では、フランスは世界第2位のチーズ生産量を誇り、世界の国々の中で最もチーズを消費しているのはフランス人と言われています。またフランスから海外への輸出も盛んに行われています。

またフランスには、チーズの原産地や伝統的製法を保護し、その品質を保証する「A.O.C」と呼ばれる制度があるほど。世界的に有名なカマンベールや「世界3大青カビチーズ」のひとつ「ロックフォール」などがその代表的なフランスチーズとされます。

フランスのチーズの歴史は大変古く、ローマ時代以前にはすでにフランスチーズが誕生していたとされます。農家の生活の知恵として、修道院での自給自足の糧として、その後もチーズは当時のフランスの人々の暮らしの中から、フレッシュチーズ、白カビチーズ、青カビチーズ、ウォッシュチーズ、シェーブルチーズ、セミハードチーズ、ハードチーズと多種多様なチーズの種類が生み出され、貴重な食料として発展してきました。

フランスで最も愛されていると言われるコンテは、切り方によっても味わいの感じ方は変わるハードチーズです。また、熟成期間違いで食べ比べるのも面白いです。まずは塊のコンテをカットしてそのまま食べてみましょう。切りたてのチーズからは華やかなミルクの香りが広がり、食べると風味豊かなナッツのようなコクがあります。余韻が長く深い味わいは、それだけでも幸せな気持ちにしてくれます。さらに、ドライフルーツやジャム、蜂蜜、ナッツと合わせて食べるのもおすすめです。

なお、コンテを食べる時の最適温度は15～18℃。食べる少し前に冷蔵庫から出しておくと良いでしょう。合わせるワインはフランス産の中でも同郷のヴァン・ジョーヌ(黄ワイン）が王道ですが、ジュラの白や軽めの赤、シャンパーニュや日本酒とも素敵なマリアージュです。

そして、コンテは料理に使ってもとても美味しいフランスチーズ。バゲットに挟んでサンドイッチにしたり、スライサーでひらひらと薄く削ってサラダにトッピングするのもおすすめ。また、焼いてアツアツとろとろにしてもさらに美味。グラタンやチーズフォンデュ、キッシュ、オムレツ等にもよく使われます。でも、美味しすぎて、食べすぎには要注意です！

フランスの牛乳製白カビチーズ。優しく上品な味わいと風味、熟成が進むにつれてとろりと柔らかくなる舌触り……まさにエレガントという言葉がぴったり。食べる時は、最低30分以上室温に置いて、柔らかくなったところをそのまま、またはパンにのせたり、ドライフルーツとともに。また、フランスのブルゴーニュ等、上質でエレガントな赤ワインと一緒にいただくと、ステキなマリアージュを楽しめます。

フランスでは、ワインや食べ物の取り合わせに“マリアージュ（結婚）”という表現を使う。つまり、いい相手が見つかれば幸せになれるというわけ。そこで、有名なのがあのイタリアのプレイボーイ、カサノヴァの言葉。「ロックフォールを食べ、シャンベルタンを飲めば、消えかけた愛は再び燃えたち、芽生えたばかりの恋はたちまち成就する」。これはチーズとワインのマリアージュのすばらしさを強調しており、この言葉でロックフォールとシャンベルタンが爆発的に売れたとされている青カビチーズです。

塩水にワインを加えてチーズの表面を洗いながら熟成させて作ります。有名なワインの名産地として知られるフランスのブルゴーニュ地方らしく、この工程で使われるワインは地元の「マール・ド・ブルゴーニュ」が使われる事が多いようです。オレンジ色でしっとりとした質感。そして一番の特徴は、その独特で強烈な香り。かなりのウォッシュチーズ上級者でも驚かれるはずです。しかし、意外にもその味はクリーミーでマイルド。質感もスプーンですくえるほどトロトロとしたやわらかさです。ブルゴーニュ産のワインはもちろん、日本酒にも相性バツグン。

フランスチーズであるブリアサヴァランは牛乳にクリームを加えて作られる濃厚なフレッシュチーズ。高い乳脂肪分からとてもクリーミーでなめらかな食感。そこにさわやかな酸味も加わったその味は「チーズケーキ」さながら。このチーズひとつでデザート気分を楽しめます。白のスパークリングワインやシャブリ、フランスのブルゴーニュの赤ワインとのマリアージュが最高です。魚介類やローストチキンに添えても美味しいです。

2000年以上も前から作られており、現在でも、フランス国内の生産量がとても多くフランスでとても親しまれているセミハードチーズです。「ジュンヌ」と呼ばれる熟成期間が1ヶ月から2ヶ月のものはおだやかな風味が特徴。「アントル・ドゥ」と呼ばれる熟成期間が3ヶ月から7ヶ月のものはミルキーな濃厚さと酸味があり、やや発泡感も感じます。

あらゆるフランスチーズの代表的なものをざっとご紹介致しましたが、いかがでしたでしょうか？フランス産のものだけでも４００種類あるとのことですので、全部はとてもご紹介できませんが、「実はチーズは苦手で」という方もちょっと試してみたくなりませんでしたか？ワイン好きのあなたなら、まさにピッタリです。今晩のおつまみは決まりましたね！