2017/06/11
あっきーな
日本に住んでいると刺身や炙りなど新鮮なまま魚を食べるのが上等だとされています。しかし新鮮な魚をさらに一手間かけ、熟成させることで深く複雑な魚の旨味を引き出されます。日本だけでなく世界の「魚の熟成」の魅力をたっぷりとまとめました!
きちんと締めた魚は呼吸をしていたときは生成されなかったイノシン酸というアミノ酸の一種が生成され、捕れたての鮮魚よりも旨味を感じます。むしろ魚においては時間をおいて旨味を増やすことを「熟成」というのです。
新鮮な刺身でも評価が高い「活け締め」はイノシン酸のもととなる成分を最大限に残すので、熟成させるときにもより旨味を活かせる締め方となります。熟成させると捕れたての歯ごたえの良さは減っていきますが旨味の濃い味わいを生み出します。
上で紹介したイノシン酸は酵素の働きにより生成されるので酵素が壊れてしまう加熱処理を行うとイノシン酸は増えません。しかし加熱しないと腐敗してしまうので主に塩漬けにしてから保存し、熟成させる方法がほとんどです。
かといって熟成された魚が全てが塩気のある加工品であるというわけではありません。ほんの数日であっても締めてから時間が経つにつれ旨味が増すので、熟成をすすめて腐敗しないタイミングで食すという魚の食べ方がいま日本でも取り入れられつつあります。
熟成して旨味が増すといってもやっぱり刺身は新鮮な方が…と思いますよね?しかし最近は刺身すらも「熟成」させて旨味が一番出たタイミングで提供する和食屋もあるのです!イカやのどぐろなどそのままでも旨味が強い魚でも熟成させた物と比べると「旨味の濃さ」が全然違うそうです。お店でもし見かけたらぜひ食べ比べてみてください!
紹介した刺身の熟成は家庭で簡単に試すことができるのです!新鮮な刺身のサクに軽く塩をして冷蔵庫で一晩寝かせ、翌日食べる直前に塩を洗うだけでぐっと旨味がアップします!新鮮な魚がたくさんあるけど一日じゃ食べきれないときにも活用できますね!
他にもツナなどのオイル漬けや、本格的な物ならばアンチョビも家庭で作ることができます。
しかし長期の熟成は腐敗と隣り合わせなのできちんとした知識にもとづいて作るようにしてください。いまは熟成に関するレシピ本もありますのでそれを参考に試してみるのもおもしろいですよ!
アンチョビはただの鰯の塩漬け・オイル漬けではなく、しっかりとした熟成をもってあの旨味が出ていたのです。よく混同されるオイルサーディンは熟成させる期間が必要ないので違う物となります。
ナンプラーは鰯を塩漬けし発酵した段階の液体部分をさらに発酵させたものです。名前は違えどアジアで広く使われ、日本でもしょっつるなどの「魚醤」があります。身が崩れるまで発酵・熟成させるので魚の旨味が詰まった調味料になります。
日本でも生産されていますが、よく使われているのは台湾・イタリア、スペイン、エジプトなど。魚の卵巣を塩漬けし天日干しで乾燥させる工程で熟成され独特の風味と旨味がでます。
魚の熟成というとまず鮒寿司が浮かぶ方も多いのではないでしょうか?鮒寿司は鮒を塩と米で一年以上寝かせてできる滋賀名物の発酵食品です。かぶらと鰤を漬けたカブラ寿司やサバや鮎を漬けた和歌山のなれ寿司も同じ方法で熟成させる調理方法です。
もともとは日持ちしない魚を保存するための調理法で、30年ものなんてものも食べられるといいます。発酵食品なので独特の癖はありますが、よく熟成された物を食べると早寿司(なれ寿司の反対で一夜漬けの魚の寿司)は味を感じないくらいに味の濃さが違うようです!
イタリアや北欧などでもタラの干物が見られますが干物も魚の熟成方法の1つです。一夜干しではなく数ヶ月熟成された魚の干物は時にだしとしても活用されるほど旨味が増えています。また、だしが主要用途の鰹節は魚の旨味だけの為に熟成させた加工品であるともいえるでしょう。
古くから伝わる熟成は主に魚の保存のための副産物ともいえるものでした。しかし結果、旨味やまろやかさ・独特の風味が増し、冷凍技術などが発展した今では、魚をおいしくする技術として注目されています。
生で食べる刺身も熟成させて、一番旨味を楽しめる状態でいただく時代。新鮮な魚に恵まれている日本だからこそよりおいしく幅広く魚を楽しんでみませんか?
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