2016/03/05
むむみみ
見た目も色鮮やかなオレンジ色をしているのが特徴のミモレット チーズ。あまり知られてはいませんが、そのミモレット チーズの発祥や製法には、驚くべき秘密があるのです。今回はそんなミモレット チーズの秘められた真実について語りたいと思います。
エダム チーズ
この代替品がミモレット チーズ
17世紀、当時のフランスが採った重商主義政策によりイギリス、オランダ製品に高関税がかけられました。
フランスで人気のあったオランダ原産のエダム チーズが入ってこなくなったので、その代替品として作られたのがミモレット チーズです。
チーズの歴史の中で、ミモレット チーズは比較的新しいチーズといえるでしょう。
フランドル地方
原産地はフランス北部フランドル地方ノール=パ・ド・カレー地域圏のリールとされていますが、製法がエダムチーズと同じことからオランダ原産とする説もあるそうです。
フランドル地方はフランスの最北端とも言える地方で、ベルギーとの国境付近になります。
「フランドル」を英語読みすると「フランダース」になります。
アニメ『フランダースの犬』でお馴染みの地方です。
ミモレット チーズの外見
ゴツゴツした漬物石!?
ミモレット チーズは牛乳を原料にして作られるセミハードチーズ、またはハードチーズです。
アナトー色素を使っているので、中身の色は鮮やかなオレンジ色になります。
大きさは20cm程度で上下がつぶれたボール状をしています。
表面はクレーターのような穴が開いていて、粉を吹いているのが特徴です。
アナトー色素とは、ベニノキの種子から抽出される食用色素です。
ベニノキ熱帯アメリカ原産の常緑低木で、毛の生えた赤い果実が実ります。
果実の中に多数の種子を含み、その種子の皮からアナトー色素が抽出されます。
ベニノキの果実
ベニノキの種子
南米や東南アジアなどでは高価なサフランの代用品として、ベニノキの種子をそのまま香辛料・着色料として使われています。
アマゾン川流域などの原住民が古くから化粧・ボディペインティングに利用していたそうです。
現在は食用色素(食品添加物)や口紅に利用されています。
ミモレット チーズの茶色っぽいゴツゴツした表面の正体は『ダニ』です。
コナダニの一種で「チーズダニ」と呼ばれています。
チーズダニ
チーズダニはチーズの表面や表面に開いた穴に入ってチーズを食べます。
そのチーズダニの糞や、脱皮した皮がミモレット チーズの表面に茶色っぽい層を形成します。
通常ならチーズの熟成はカビによるものがほとんどですが、ミモレット チーズのようにダニで熟成するチーズもたくさんあります。
もちろん人体には無害なのでご安心を。
表皮を削り取ったミモレット チーズ
ミモレット チーズを食べる時は、その茶色っぽい表皮ごと食べてもいいのですが・・・。
表皮は硬くて食感が悪いので、表皮を削り取ってオレンジ色の中身だけ食べるようにしましょう。
角切りにしたミモレット チーズ
サラダなどにトッピング
スライスしたミモレット チーズ
サンドウィッチに挟んで
熟成の浅いミモレット チーズはプロセス チーズのように弾力があって柔らかいので、包丁などで簡単にカットできます。
角切りにしてサラダにトッピングしたり、スライスしてサンドウィッチに挟んだり・・・。
もちろんそのまま食べても美味しいです。
熟成の進んだミモレット チーズ
そのままおつまみに
摩り下ろしたミモレット チーズ
例)リゾットにトッピング
熟成の進んだミモレット チーズは水分が抜けてカチカチに硬くなります。
切るというよりも割るといった感じになるので、包丁などで怪我をしないように注意しましょう。
熟成期間が18ヶ月を超えたミモレット チーズには「からすみ」のような風味があります。
薄く削ってチビチビ味わうと、お酒の進むいいおつまみになります。
また硬いミモレット チーズを摩り下ろして、粉チーズ感覚でお料理にトッピングしても美味しいです。
ラップで包んだミモレット チーズ
ラップに包んで冷蔵保存すれば、結構長持ちします。
切り分けてパッケージされているものがほとんどですが、そういったものを保存しても残念ながら熟成は進みません。(チーズダニが死滅しているため)
スーパーなどで熟成期間ごとに別売りされていますので、お好みの味わいのものを選ぶようにしましょう。
市販のミモレット チーズ
18ヶ月熟成のミモレット チーズ
いかがでしたでしょうか?
アメリカでは2013年3月、生きたチーズダニの寄生を理由に輸入禁止となりました。
でも日本のチーズ専門店なら、チーズダニが生きているミモレット チーズも売っています。
ちょっと気持ち悪いかもしれませんが、そんなミモレット チーズを探してみるのも楽しいのではないでしょうか?
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