”ヒラメVSカレイ”見分け方の通説は日本だけ？似ているけど違いは？

生息する地域や種類で目の位置が逆の場合があり、ヒラメとカレイを正確に見分ける目安にはなりません。ヌマガレイはカレイの身でありながら目の位置は左です。最も判りやすい見分け方としては口と歯の形状。ヒラメはイワシやアジを捕食するので裂け口で大きく尖った歯を持っているのに対しカレイはゴカイ等の虫を食べるので口も歯も小さい。顔つきもヒラメの方が獰猛な顔をしています。

ヒラメとの圧倒的な顔の違いは目。カレイもヒラメも擬態をして隠れ捕食をしますが体の色を変化させて擬態するヒラメとは違い、カレイは海底の砂に潜ってゴカイを待ち伏せして捕食します。その為、体は砂の中でも目は潜望鏡の様に飛びだしているのです。

砂の中でじっと獲物を待ち伏せするカレイとは対照的に、ヒラメはイワシやアジなどの魚が近づくと海底から舞い上がって捕食します。鋭い歯を見れば肉食系と言うのも納得です。

ヒラメもカレイも稚魚では普通の魚の様に目の位置は左右についています。成長するにつれ片方の目がもう片方の目に寄って行きます。この偏りは脳のねじれから来る事がつきとめられたそうです。

ヒラメとカレイでは主食となる餌が違う為、当然味も違って来ます。砂の中でじっと獲物を待つカレイに比べヒラメは素早く動いて獲物を捕らえるため、身は引き締まり脂ものっています。身が硬くなってしまうので火を通す料理には向いていません。また、ヒラメの縁側は寿司ネタとしても人気がありますが、回転寿司等で使われているのは、【オヒョウ】【カラスガレイ】と言ったカレイ目に属する代用魚です。

煮つけやから揚げ等でよく食べられるカレイ。海底であまり動く事が無いのでヒラメの様に身は引き締まっていません。火を通した料理にするとその分、身はふっくらと美味しくいただけます。ところでカレイのお刺身って鮮魚店や飲食店のメニューでも見かけないのは何故でしょう？ヒラメは販売単価が高い事から養殖が盛んに行われいます。カレイは養殖をされていないのに加え、マグロ・かつお等の魚の刺身の方がよく売れるからと言う理由の様です。カレイを刺身で食べるとしたら高級料理店へ行くか釣るしかありません。

天然のヒラメは海底の砂や泥に潜った状態でいる事が多く光を浴びる事がほとんどありません。養殖のヒラメは水槽内で光を受けるので斑点が出来るそうです。人間の日焼けと似た状態です。また、砂に潜れない為のストレスが原因の1つである事もわかっています。味の方は近年では天然物も養殖物も殆んど変らない様です。

ヒラメの漁獲量の90％は養殖ですが、カレイはその寿命の長さ故、養殖に適していません。ヒラメの寿命が数年程度に対しカレイは十数年と長生きでその分成長も遅く食用として出荷サイズにまで育てるのに時間がかかり過ぎるのです。しかし、カレイの中でも高級魚として市場価値の高いマツカワカレイは2000年代から養殖が行われています。また、人工的に育てられた稚魚の放流も試みとして行われており種類によって一定の成果を得ているとの事です。

縁側と言うのはひれを動かす筋肉部分を差します。ひれを持つ魚には縁側があります。ヒラメは背びれと尻びれが長く発達しおり美しい事から【縁側】＝【ヒラメ】と言うイメージがついたと思われます。また1匹のヒラメからはお寿司で4～５貫分程しか取れない為、高価なものとして取り扱われます。私達が回転寿司で口にする縁側はカレイの縁側でカレイと言ってもカラスガレイやオヒョウと言った巨大で安価なカレイを使っています。

オヒョウは大きいものになると3mを超えるものもあるそうです。縁側部分も大きく安くて沢山のネタを提供する回転寿司にはもってこいの魚です。脂ぽさが縁側の味と思ってる人も大勢いるかと思いますが、ヒラメの縁側はカレイとは違い淡白な味です。回転寿司の縁側がヒラメの縁側の味と思っている人には物足りないかも知れません。