記事ID11012のサムネイル画像

軟水・硬水って何?水の硬度についてあなたはご存知ですか?

よくミネラルウォーターを買うと、ラベルに軟水とか硬水とかの硬度って書いてありますが、その本当の意味ってご存知ですか?軟らかい水、硬い水ってわけじゃないですよね?今回はその硬度の意味を解き明かしてみましょう。その上で自分に合ったお水を飲みましょう!

水の硬度ってなに?

硬度はミネラルウォーターの味を決めるといわれていますが、そもそも硬度とは何を表しているのでしょうか。硬度とは、水の中に含まれるミネラル類のうちカルシウムとマグネシウムの合計含有量の指標です。簡単に言うとカルシウムとマグネシウムの含有量が比較的多量である水を硬水、少ないものを軟水と呼びます。硬度は「石鹸の泡立ちにくさ」を示すものとして(硬度が高いほど泡立ちにくい)生活に密着したものであり、また、硬水・軟水などの硬度の分類は地域により異なります。

水の硬度の計算方法

生活用水や飲料水をその成分で分類したときに「軟水」、「硬水」という言葉を使います。軟水・硬水の基準には「硬度」が用いられています。硬度とは、水に含まれるカルシウム濃度およびマグネシウム濃度で表される指標で、算出基準は国により異なります。日本では米国の基準が広く採用されています。

硬度[mg/l]=(カルシウム量[mg/l]×2.5)+(マグネシウム量[mg/l]×4.1)

硬度を分類する基準にはいろいろありますが、硬度100以下が「軟水」、硬度101~300は「中硬水」、硬度300以上が「硬水」というのがおおよその目安になります。硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムは地下の岩石から時間をかけて溶け出したものです。従って、日本やイギリスなどの島国は滞留年数が短いため地下水の硬度は低くなる傾向があります(日本でも沖縄は硬水が多い)。

一方で石灰岩地質が卓越し、滞留年数も長いヨーロッパ大陸の地下水は硬度が高い傾向があります。また、海外のミネラルウォーターには炭酸ガスを含むミネラルウォーターも少なくありません。軟水は一般的にくせがないのでそのまま飲んでもおいしく、料理をするのにも適しています。硬水は、ミネラル成分が多く含まれますがくせがあり、そのまま料理に使うにはあまり適していません。中硬水は軟水と硬水の間の性質があります。

地域による水の性質の違いと食文化

水のミネラル成分は、雨水や雪解け水が大地にしみこみ川となって流れていく過程で、周囲の地層などの成分が少しずつ溶け込んだものです。地域によって硬度に大きな差があるのは、大地を形成している物質が地域によって違い、水の滞留時間が異なるからだと考えられています。たとえば欧米などに多く見られる石灰質の地層では、カルシウムを多く含む密度が高い地層を地下水が時間をかけて通り抜けます。

地表の川の水も広い欧米の大地をゆっくりと流れて海にたどり着き、こうしてミネラルがたくさん溶け込んだ硬度の高い水となります。日本では、雨が多く、密度の低くて透水性の高い火山性の地層が多いため、地下水の滞留時間が短くなります。また、川の水も土地が狭く傾斜が急なために、あっという間に海に流れ出てしまいます。こうしてミネラル分をあまり含まない軟水になるのです。

軟水と食文化

日本のほとんどの地域の水は軟水です。軟水は一般的に料理に適しており、そのおかげで日本では水をふんだんに用いて素材そのものの味を生かす料理が発達しました。水を多く使う煮物、吸い物や、葉野菜をさっとゆでておいしく食べるという方法もあります。だしをとるのも軟水ならではの方法で、ご飯を炊くときも、米にたっぷり水を含ませて炊きあげます。 飲み物に関しても、日本人がよく飲む緑茶も水そのものの味が左右することもあります。茶道が発達した理由のひとつに軟水もあげられるでしょう。

硬水と食文化

ヨーロッパの水はほとんどが硬水です。硬度の高い硬水はミネラル分が豊富に含まれていますが、料理に利用する場合は、そのミネラルの作用でたんぱく質が固まって旨み成分が溶け出さない場合もあります。そのため、ヨーロッパでは水をそのまま利用しないで料理をする工夫が生まれました。野菜に熱を加えるときは野菜自体に含まれる水分を利用して蒸したり、オーブンで焼いたり、油脂を加えて煮込んだりする料理が発達しました。

米は炒めたり蒸したり、水を使わずスープストックや牛乳で煮たりしますし、肉も油で炒めたりローストしたりすることが多いのです。また煮物はシチューのような煮込み料理が多く、水で直接煮込まずにスープストックを使い、ワインや生クリームを加えて調理します。こうした背景からフランス料理のような料理文化が生まれたとも考えられます。

水の硬度の違いによる身体への影響

日本の水道水もドイツの水道水も各々の国の安全基準をクリアしています。WHOが2006年と2009年にまとめた、飲料水中に含まれるカルシウムとマグネシウムの健康への影響についての報告書によると、長期間の硬度の高い硬水摂取による特定の疾病の増加は認められていません。

尿路結石・ 胆石・ 唾石(だせき)

カルシウムを多く含む硬水の水道水を飲むと腎結石や胆石が増えるのではないか? と、多くの研究がなされました。その結果、硬水と尿路結石・胆石・唾石との因果関係はないというのが現在の結論です。むしろ、硬水は腸管で尿路結石の元となるしゅう酸吸収を妨げ、尿路内でのしゅう酸の濃度を下げることにより結石形成を抑えると考えられています。

皮ふ疾患

硬度が高いからと言って硬水自体が湿疹を起こすことはありません。しかし、石鹸カスやスケール(石灰カス)が十分に洗い落とされずに体表に付着したまま残っていると、皮ふの炎症(湿疹)の引き金になります。また、体に残った石鹸を取り除こうと強くこすりすぎると、その部分の皮ふの防御バリアが壊され、乾燥肌(乾皮症)を誘引することもあります。赤ちゃんの皮ふは大人より敏感で、しかも皮ふの防御システムが十分に完成していないので注意が必要です。

心疾患

一時、カルシウムを多く含む硬水は動脈硬化を促進して狭心症や心筋梗塞などの心疾患を増やすのではないかと議論されました。しかし、現在まで硬水が心疾患を増やすという証拠はなく、弱効果ながら、むしろ心疾患を減らす可能性さえも示唆されています。

下痢

硬水中のマグネシウム・イオンは腸管で水と結合することにより、水の吸収を妨げます。そのため、大量の硬水を飲むと下痢を起こすことがあります。反対に、非常に硬度の高いミネラルウォーター(超硬水)などは、便秘改善の目的で飲まれることもあるようです。

まとめ

いかがでしたか?硬度に関する疑問は解けましたか?硬度ってミネラルにふかーい関係があるんですね。それによって食文化にも影響を与えているってビックリです。それぞれ用途に合わせて軟水・硬水などの硬度で使い分けてみることもできそうですね!是非参考にして頂けるとうれしいです。

関連する記事

この記事に関する記事

この記事に関するキーワード

キーワードから記事を探す

TOPへ