たこ焼きキャベツ論争　たこ焼きにキャベツは入れる？入れない？

たこ焼きの本場とされる大阪で、たこ焼きの材料と言えばなんでしょう？
粉、たこ、ねぎ、紅しょうが、削り粉、天かす。

でも最近、たこ焼きにキャベツを入れる人が多くなり、各所で小さなたこ焼きキャベツ論争が起こっているのはご存知でしょうか？

一説には友達とたこ焼きパーティーをする人が増えて、それぞれの家の作り方だったたこ焼きが、たこ焼きパーティによって各家の作り方の違いが発覚し、キャベツ論争が起こったとも言われています。

たこ焼きの本場大阪で「たこ焼きにキャベツを入れるなんて邪道！」と言われるのは、大阪のたこ焼き屋さんでたこ焼きにキャベツを入れない店がほとんどなので、キャベツを入れる習慣がないためです。

たこ焼きにキャベツを入れるか入れないかというアンケート調査の結果もあり、入れる派は3割強とも言われています。しかし別のアンケート結果ではキャベツを入れる派が５割を超えているものもありました。

また下の図のように、キャベツを入れる都道府県の分布で見ると、たこ焼きにキャベツを入れる、というところの方が多い、という結果もあります。

それだけではなく、大阪のお隣兵庫県の淡路島では、淡路島名産の玉ねぎをたこ焼きに入れるのが常識とされていたり、長野県ではさすが高地のおいしい白菜がキャベツの代わりにたこ焼きの中に入っているという情報もあります。

ここで一つ疑問が。大阪のたこ焼き屋さんでも、たこ焼きのバリエーションとしてたこ焼きにお餅が入っていたり、チーズが入っていたりはすでに当たり前。中にはたこ焼きにツナやコーンまで入っているたこ焼きだって存在するのです。

そうなるともうキャベツが入っているのが邪道かどうかという大問題でなないような気もするのですが、なぜキャベツだけそんなにこだわるのでしょうか？

いろいろご意見もあるでしょうが、ざっくりと大阪の粉ものを挙げると、たこ焼きとお好み焼きは大阪の粉もの二大ソウルフードともいえます。

そしてその二つに使われている具材が非常に似ているところに、こだわりの発端があるのです。
つまりは、明石発祥の卵焼き（通称明石焼き）には粉や卵などのほかにはたこしか入っておらず、これが大阪のたこ焼きの基本形だとされています。

対するお好み焼きには、いろいろな具材がある中、なんといっても主役はキャベツになるのです。
ですから、キャベツの入った粉もんは必然的にお好み焼き、という感覚があるため、たこ焼きにキャベツを入れるのはお好み焼きの存在に対してどうなのよ？とどうしても相いれない思いがあるのです。

たこ焼きにキャベツを入れるか、入れないか？という問題は、もしかしたら大阪人や大阪のたこ焼きに深いこだわりを持つ人以外にとっては、論じるまでもないことなのかもしれません。

つまりは、大阪のど真ん中のたこ焼き屋であっても、キャベツ以外の具材は遠慮なくたこ焼きに投入している現実から判断すると、この論争の原点は大阪人のお好み焼きとたこ焼きとの存在を大事に思う気持ちから生まれたものであり、そのような意識のない人にとってはおいしければどちらでもいい問題だということになります。

このタコ焼きキャベツ論争は、大阪で愛されているもともとのたこ焼きには、キャベツは入っていなかった、という結論でいかがでしょうか？

お好み焼きでももんじゃ焼きでも、焼きそばでも、入れる具材はほぼ決まってはいるものの、おいしいとなればそれが主流になったり、アレンジをきかせてさまざまにおいしさを楽しむのが一番平和的な解決です。

大阪のたこ焼きでも、もともとを追及すると、ソースではなく生地に醤油を混ぜて焼いたものであったり、当然のようにかけられるマヨネーズもネギも邪道ということになるでしょうし、チーズ入り、キムチ入りなんてもってのほか！と目くじらを立てることになります。

喰いだおれの町大阪だからこそ、おいしいものは寛容に受け入れてくれてきたのです。キャベツ入りのたこ焼きがおいしいものであると多くの人に愛されているなら、邪道と言わず、それもアリ、とこの論争を結論付けることにしませんか？