体を温めるだけが生姜の効能ではない?生姜の効能と効果的な取り方
2016/06/10
うめ子
生姜には体を温め、血の巡りがよくし血液中の老廃物を取り除く作用があります。またお茶には美肌や老化防止、消化促進、風邪予防に効果があると言われます。生姜とお茶は昔から民間薬として用いられてきました。今回は健康に欠かせない生姜とお茶のお話とレシピを紹介します。
生姜は世界各地で香辛料や民間薬として用いられている野菜の一種です。原産地はインドからマレー半島にかけてのアジア南部で、日本に伝わったのは3世紀頃、中国から伝わったといわれ、主に薬用として栽培され、江戸時代から一般的な食用として広まったといわれています。
日本で栽培されている生姜には大別して3種類あります。そして、生姜の特徴は特有の強い辛味と香りで、この2つに優れた薬効があると言われています。生姜の辛み成分としてジンゲロン、ショウガオール、ジンゲロールなどが知られています。
また、生姜の皮のすぐ下には爽やかな香りの成分があり、その香り成分は肉や魚の独特の生臭さを抑える働きがあります。
生姜の成分は、90%が水分で、他にタンパク質が1%、炭水化物が7%、また少量のビタミンB₁・ビタミンB₂・ビタミンC、微量のミネラル(マンガン)を含んでいます。
生姜を加熱すると、生姜の辛み成分のジンゲロールの一部がショウガオールという熱をつくり出す働きをもつ成分に変化するので、熱を加えた生姜を食べると3~4時間の保温効果が継続するといわれています。体温が1℃上がると、免疫力が30%上昇し風邪などの病気の予防にも効果が期待されています。
生姜に含まれるジンゲロン・ショウガオールには、殺菌効果があり、寿司や刺身に添えられているガリ(生姜の甘酢漬け)は、魚の臭み消しと食中毒を予防に用いられています。
生姜にはタンパク質分解酵素が含まれているので、胃腸の働きを高め、消化吸収を助ける働きをすると言われています。また、胃潰瘍の原因であるヘリコバクター・ピロリ菌を殺菌する効果も期待されています。
生姜の辛み成分のジンゲロールは風邪のひき初めに効果的だといわれています。殺菌効果と発汗作用で微熱を抑え、喉の痛みを緩和するといわれます。ジンゲロールは空気や熱で成分が変化してしまうので、おろしたてまたはスライスしたてをお茶などに混ぜて飲むと効果的です。
生姜の抗酸化作用と代謝促進作用により、血液の循環がよくなり、美肌効果や老化防止、免疫力強化の効果が期待され、結果としてアンチエイジングにつながるといわれています。
世界的にみて「お茶」の呼び名は、「チャ」に由来するものと「テー」に由来するものの2つに大別できるそうです。中国で誕生したお茶が、陸路を通じて伝播(中国、インド、トルコ、日本)したものが「チャ」で、海路を通じて伝播(ヨーロッパ諸国)したものが「テー」であるといわれています。
お茶は奈良・平安時代に、遣唐使や留学僧によって日本へもたらされたと推定されています。その後、僧侶や皇族、豪族たち愛飲され有名な千利休 (1522~1591)らによって「茶の湯」が完成し、豪商や武士たちに浸透しました。現代では、生茶の緑茶のほか、発酵させた紅茶や半発酵のウーロン茶など、様々なお茶が親しまれています。
お茶は発祥の地中国では、解毒剤として用いられました。お茶に含まれるタンニンは脂肪の酸化を抑え老化を防ぐ効果があり、ガンの発生率を下げると言われています。
お茶はノンカロリーで、カリウムやカルシウム、ナトリウムなどのミネラルを含むアルカリ性飲料です。
お茶はビタミン類が豊富なので、疲労回復や精神安定、風邪予防の効果が期待されています。また、お茶に含まれるカテキンは食中毒の原因菌に働き予防すると言われているほか、カテキンの抗菌作用は虫歯にも効果があり口腔内細菌の増殖を抑制することも知られています。
お茶は世界中で親しまれている飲み物ですが、浸出液を飲用するお茶を大別すると不発酵茶(日本の緑茶など)と半発酵茶(中国のウーロン茶など)と発酵茶(インドの紅茶など)に分けることができます。
そして、それぞれのお茶に生姜をブレンドして、生姜茶は愛飲されています。
お茶と一緒に生姜を入れる場合は、生の生姜をすりおろして混ぜるというレシピも多々ありますが、生姜は熱を加えることで、生姜の成分のショウガロール(熱を取り除く働き)がショウガオール(体を温める働きをする)へと変化して、体の深部から温めることが出来るようになるので、オーブンや天日でドライ生姜を作り、体を温めるためのお茶を作る場合に参考にしてください。
作り方
生姜を厚さ1~2mmにスライスする
方法(1)オーブン120℃で90分焼きドライ状態にする
方法(2) 室内放置で1週間程度放置する
方法(3) 天日干しで1日置き干す
オーブンの種類によっては60分~90分程で乾燥状態になることもあるので、様子を見て乾燥生姜を作ってください。乾燥後、ミルサーやフードプロセッサーで粉末の乾燥生姜を作ることも出来ます。
生姜の辛みが強すぎると感じる場合は、乾燥させる前に、生姜を茹でて、ざるにあげ水分をきってから茹でた生姜を広げて乾燥させると、辛味は少なくなります。1度茹でても辛い時は2度茹でると、辛味が和らぎます。
有名なところでは、インドでよく飲まれているマサラ・チャイ。紅茶をお湯で煮だして、生姜やシナモン、カルダモンなどのスパイスをいれ砂糖とミルクを入れ温めたお茶です。チャイには生姜や紅茶による殺菌効果と新陳代謝の増強、消化促進効果があるといわれています。
本場インドで飲むマサラ・チャイのスパイスの香りは、あまり強くないといわれています。紅茶と生姜の香りとシナモンの香りが少しする程度。甘さとミルクのクリーミーさでほっとする飲み物です。紅茶はミルクで煮ても香りや色が出ないので、お湯にスパイスと紅茶を入れ、煮出してから、ミルクと砂糖を混ぜるとチャイになります。
材料
紅茶葉 大さじ山盛り1杯
水 250ml
牛乳 250ml
シナモンスティック 1/2本
カルダモン 1粒
クローブ 1粒
黒こしょう 2粒
乾燥生姜 4~5片
きび糖 大さじ1.5~2
作り方
1.鍋に茶葉、スパイス、乾燥生姜、水を入れ中火にかける。
2.沸いてきたら弱火で1〜2分ほど煮出す。
3.スパイスの香りがでたら、牛乳、きび砂糖を加える。
4.時々混ぜながらゆっくりと温め、沸騰する寸前で火をとめる。
チャイに使うスパイスは先ほどもふれましたが、生姜とシナモン以外はあまり香りを強くしないほうが、本場の味に近くなるそうなので、好みで調節してください。ナツメグやオールスパイスなどを混ぜるレシピもありますね。
お好みのお茶を淹れる時に、乾燥生姜を2~3枚混ぜてお茶を淹れると、生姜の香りの加わった体の温まるお茶になります。味の好みは個人差がありますが、温かいお茶でリラックス出来るうえに、生姜の効果で体の中からポカポカになります。
作り方
お茶と乾燥生姜を急須にいれ、お湯を注ぎお茶の香りがたったら湯呑にお茶をそそぐ。
生姜と一緒に有機栽培のオレンジやレモンを乾燥させて、紅茶やジャスミンティにブレンドしても、香りのよいフレーバージンジャーティが作れます。お好みのお茶で試してみてください。
いかがでしたでしょうか?生姜とお茶は昔から民間薬として用いられてきた健康に欠かせない食物ですね。
「生のまま摂取する生姜」と「しっかりと熱や空気を加えてから摂取する生姜」では、体への効果に違いがあるので、風邪のひき始めで熱を下げたい場合は、生の生姜をすりおろしてお茶にまぜて、体の熱をとり、手足を温めるようにすると効果的であるいうことがわかりました。
また、体を深部からぽかぽかに保ちたい場合は、生姜を乾燥させたり、長く煮たりして、しっかりと生姜に熱や空気を加え、ショウガオールを増やしてからお茶に混ぜたりして摂取するようにすると、冷え取りにはとても効果的であるということがわかりましたね。
生姜とお茶の効果を活かしながら、体を冷やさないようにして、健康に過ごしたいですね。
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