そこが違う!!レンコンのアク抜きは絶対に必要なことなの!?
料理本などにはレンコンの下ごしらえで必ず書かれているのが「アク抜き」。下ごしらえの段階で酢水や冷水につけて、余計な成分を先に溶けださせてしまうことを「アク抜き」と言います。でもこのアク抜き、レンコンには絶対に必要な行為なのでしょうか?
「アク抜き」のアクというのは、漢字で書くと「灰汁」となります。これは食品自体が持つ渋みやえぐみなどのクセのある味に繋がる成分の意味で使われたりします。下ごしらえの段階で酢水や冷水につけて、余計な成分を先に溶けださせてしまうことを「アク抜き」と呼んでいるのですが、そのアク抜き、レンコンには絶対に必要な行為だと思いますか?
実はレンコンをアク抜きする際、実際に水に溶け出してしまっているのは、そのほとんどがビタミンCとポリフェノール成分なのです。このどちらの成分も抗酸化作用などアンチエイジングに欠かせない大事な栄養素なのですが、ポリフェノールの中にはクセのある食感に繋がる成分も多くあるのが事実です。そのため、レンコンの口当たりを良くするためには、確かにないほうが良いのかもしれません。
レンコンをアク抜きする本当の目的は、実はレンコンの白い色を保つためとも言われています。そのためレンコンを酢水や冷水にさらすのは、実はポリフェノールを取り除くだけではなく、レンコンの白い色が変色するのを防ぐことが第一目的なのです。レンコンなどの白い野菜は特に変色が目立つので、酢水や冷水にさらすことで、食品中の酵素を不活性化させて色留めを行うのです。その行為がレンコンのアク抜きに当たるのです。
本来の「色留め」とは、緑や青などの鮮やかな色が色あせてしまわないように保つ作業や作用のことなので、レンコンなどの白色の変色防止とは少し意味が違いますが、レンコンの綺麗な色を保つといった意味で、「色留め」と表現する場合が多く、ここでもその意味で使わせてもらっています。
では、レンコンのアク抜きをしないまま調理するとどうなるのでしょう?先ほども記載しましたが、「色留め」行為でもあるアク抜きをしないとなれば、調理するまでの間にレンコンの色はどんどん変色していきます。特にレンコンは酸化が進むのが早いため、アク抜きをしなければあっという間に茶色く変色してしまうでしょう。
日本料理は特に見た目の印象が味を左右してしまう傾向が強いため、もちろん見た目が綺麗なほうが美味しいと感じやすいのですが、栄養価的にみるとアク抜きをしていないレンコンの方がビタミンCとポリフェノールの流出が少ないため、栄養価は高いと言えるでしょう。
また、アク抜きに使う酢水のお酢には、レンコンの歯切れをよくする効果もあると言われています。レンコンの場合は多く含まれているポリフェノールとして「ムチン」という物質があるのですが、これは、レンコン特有の粘り成分の素にもなっているのです。そのため、アク抜きでレンコンを酢水にさらすと、酢の成分がムチンに作用して粘り成分を変化させるため、シャキシャキとしたレンコンの食感を良くする効果もあるのです。そのため、栄養のためにはアク抜きはしない!味を求めるならアク抜きはした方が良いかもしれませんね。
アク抜きをしなければ栄養面で優れているからと言っても、かなり茶色く変色してしまったレンコンを食べるのには、少し抵抗があったりしますよね。そんな時には少しでもレンコンの変色を防げるように、調理方法に少し工夫をすればいいのです。アク抜きをしなくてもレンコンの変色を防ぐ方法もあるのです。
レンコンは、切った直後から空気にさらされることで変色し始めます。アク抜きをしなくても加熱することで酵素が不活性化しますので、レンコンが変色する前にさっさと加熱してしまえばアク抜きをしなくても変色することを防ぐことはできるのです。例えばスライスして茹でる時などは、鍋の上でスライサーを使って、レンコンを切ったそばから煮たったお湯の中に落とし込むようにすると、アク抜きをしなくても変色を防ぐことができます。
いかがでしたか?レンコンのアク抜き、実は栄養分まで流れ出てしまうのですね。栄養面を考慮するのであれば、アク抜きはしないのに越したことはないのですが、来客時のおもてなし料理に、変色したレンコンを出すのはちょっと抵抗があったりもしますし、サラダに入れる場合にも、変色したレンコンは見た目的に美味しくなさそうですよね。
そのためレンコンのアク抜きは、ケースバイケースで使い分けるのがベストなのかもしれません。作る料理によって、アク抜きをしたりしなかったりするなど、その時々で決めればいいのかもしれません。ただ、レンコンはアク抜きをし過ぎてしまうとせっかくの栄養素が少なくなってしまうので、その点は気を付けたいものですね。