バターの代わりにマーガリンを使ったりするけど、その違いは何?
2016/02/16
kento08
2016/03/22 更新
トーストに塗ったり、料理に風味を付けたりと、さまざまな用途があるバターとマーガリン。あなたはバター派?それともマーガリン派? 外見は似ているけれど、原料も製法も栄養成分にも違いがあります。そこで、バターとマーガリンの気になる違いを調べました!
バターとマーガリンって一見とても似ていますが、そもそも定義に大きな違いがあります。
バターは「乳脂肪分80.0%以上(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)」、マーガリンは「油脂含有率80.0%以上(日本農林規格)」と定められています。
これは、バターは牛乳の脂肪分からできていますが、マーガリンは植物性・動物性の脂肪からできている原料の違いを意味します。
古くから存在するバターの起源ははっきりわかっていませんが、紀元前2000年頃のインドの経典にバターが作られていたという記録があります。初めは今と違い、薬や化粧品として使われ、食用になったのは紀元前60年頃からと言われています。その後、フランスでは6世紀頃からバターを使い始め、日本でも薬用として江戸時代に登場したという、国による違いがあります。
一方、マーガリンはフランス生まれ。1869年ナポレオン3世がバターの代用品を募集したことがきっかけで作られたと言われています。
バターは乳脂肪分のみでできています。
作り方は牛乳からクリームを分離して撹拌し、乳脂肪を凝集させて、それを練り固めて仕上げます。
牛乳からバターができるしくみ
マーガリンは牛乳の脂肪分だけでできているバターと違い、植物性・動物性の油脂からできています。
マーガリンの原料の油脂にはさまざまな種類の違いがあり、おもに大豆油、なたね油、コーン油、パーム油などの植物油が6割以上を占めています。また、動物性の油には魚油のほか、国産の豚脂・牛脂などがおもに使われる違いもあります。
マーガリンの作り方はバターとはずいぶん違い、原料の油脂に水素を添加し、液状のものを固体状に硬化させます。これに乳成分やビタミンA、乳化剤、着色料などを添加して混ぜ合わせます。原料によって固さや味の違いを製品に出せるのもマーガリンの特徴です。
マーガリンの製法①原料を配合する
マーガリンの製法②乳化させる
マーガリンの製造③練り固めて仕上げる
高い技術を使って製造するマーガリンですが、今マーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」が問題になっています。健康意識の高い人なら耳にしたことがあると思いますが、天然の原料を使うバターと違い、人工的に作るマーガリンは原料の油脂に水素を添加する時に大量のトランス脂肪酸が発生してしまうのです。
このトランス脂肪酸は、欧米では食品中の含有量をきちんと表示するように義務化されたり、含有量の規制も実施されています。近年ガンや心臓病、喘息やアトピー性皮膚炎などもトランス脂肪酸が原因だと言われており、オランダやアメリカではマーガリンの販売は禁止されています。
日本ではマーガリンのイメージが欧米と違い、
「冷蔵庫から取り出してすぐでも柔らかく、塗りやすい。バターは硬い。」
「原料が植物性脂肪だから、ヘルシーっぽい」
「バターはコレステロールが高そうだから」
という意見もありますが、
マーガリンのトランス脂肪酸は食品から摂る必要がないのが、バターとの大きな違いです。
<食品100gあたりのトランス脂肪酸の量。摂取限度は1日2g>
食品名 最大値 平均値
ショートニング 31.2g 13.6g
マーガリンファットスプレッド 13.50g 7.00g
スナック菓子・米菓子 12.7g 0.62g
コーヒー用クリーミング(無料のコーヒーミルクのこと) 12.5g 3.02g
ビスケット、クッキー、クラッカー、パイ 7.28g 1.80g
バター 2.21g 1.95g
マーガリンのトランス脂肪酸の含有量も多いですが、それ以上にショートニングの平均含有量がマーガリンの倍近く含まれていることも気になります。
ショートニング
ファットスプレッド
バターとマーガリンには栄養成分の違いもあります。
バターのビタミンAは牛乳由来のもので、100gあたり510μgと豊富に含まれています。一方100gあたりのコレステロールはバター210mg、マーガリン5mg、ファットスプレッド4mgで、バターは値が高く、マーガリンの値は低いという違いがあります。
バターとマーガリンの栄養成分の違いは、バターにビタミンAが豊富に含まれていること
また、風味の違いとして、自然な乳風味のバターは料理やお菓子にコクなどの濃厚な風味を与え、マーガリンにはあっさりとした味わいがあります。
使いやすさの違いは、マーガリンのなめらかな柔らかさが大きな特徴です。バターと違い、冷蔵庫に入れておいても硬くならないため、出してすぐパンなどに塗ることができます。
しかし、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の危険性は、健康を気にする人なら見過ごせません。もちろん、マーガリンと製法は違いますが、バターも摂り過ぎは禁物です。摂り過ぎると血中コレステロール値が上がり動脈硬化になりやすくなったり、体内でも固まりやすく、ドロドロの血液になると言われています。
バターとマーガリンのさまざまな違いを知った上で、どちらも摂り過ぎには注意した方が良いでしょう。
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