知ってた?関東と関西では呼び方も変わる!ぜんざいとおしるこの違い
2016/03/24
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寒くなると食べたくなる、やさしい甘さの「おしるこ」や「ぜんざい」。甘味処では必ずと言って良いほど扱われているメニューですが、何気なく食べているおしることぜんざいの違いを説明できますか? 実は関東と関西では、おしることぜんざいの解釈にずいぶん違いがあるんです。
寒い季節になると、誰しも温かい食べものが恋しくなるもの。そんな「美味しく温まりたい!」という時に心惹かれる食べ物の一つが、おしるこやぜんざいなどの甘味ではないでしょうか。ほっくりしたやさしい甘さが、かたくなった身や心までほぐしてくれます。
甘味処で必ず目にすると言って良いおしることぜんざい。それぞれ違いを意識して呼んでいる人は少ないかもしれませんが、実はおしることぜんざいは似て非なるもの。ひと口におしるこ、ぜんざいと言っても中身は違います。いったい何がおしるこで、何がぜんざいなのでしょうか。
それぞれの材料から違いを探っていきます。
「しるこ」【汁粉】
小豆の餡を水で延ばして汁として砂糖を加えて煮、中に餅又は白玉などを入れたもの。漉し餡のものと粒あんのものとがある。(広辞苑より)
この説明から、おしるこには中に餅を入れたものと白玉を入れた具の違い、小豆のあんを漉したものと粒のものの、あんの違いであることがわかります。
おしるこは江戸時代の後期から流行したもので、小さな焼き餅などを入れるようになったのはかなりあとになってからだといわれています。当時の食べ物と現在目にするおしるこの違いも気になるところです。
「ぜんざい」【善哉】
関西では潰し餡の汁粉。関東では栗餅・道明寺餅・白玉餅などに濃い餡をかけたもの。(広辞苑より)
この説明では、関東と関西でぜんざいの解釈の違いが書かれています。
関東では餅に濃いあんをかけた汁気のないものをぜんざいと呼び、関西ではあんをつぶした汁気のあるものをぜんざいと呼ぶ。つまり、おしることは違い、あんの状態ではなく汁気のあるなしで区別されているのです。
漢字で「善哉」と書くぜんざいの語源は、
善哉は元仏教語で、「すばらしい」を意味するサンスクリット語「sadhu」の漢訳。 仏典では、仏が弟子の言葉に賛成・賞賛の意を表すときに、「それで良い」「実に良い」といった意味で用いられる。 仏教語の「善哉」がお汁粉を意味するようになった由来は、これを食べた僧があまりの美味しさに「善哉」と賞賛したためとされるが未詳。 一説には、初めて食べた一休禅師が「善哉此汁」と言ったことからとも。
また、ぜんざい発祥の地、出雲地方では旧暦10月に全国から神が集まるという神在祭(かみありさい)があり、そこで振る舞われた「神在(じんざい)餅」が訛ってぜんざいになったという説も。出雲地方では、実際おしるこよりもぜんざいの人気が高いそうです。
ここで関東と関西の呼び名の違いに注目してみます。
関東では汁気があるものを、まとめて「おしるこ」と呼んでいます。これに対して、汁気がない濃いあんを餅や白玉に添えたものを「ぜんざい」と呼んで違いを表しています。夏には冷涼な冷やしぜんざいも人気です。
一方関西は、粒あんで汁気があるものを「ぜんざい」と呼ぶ違いがあります。漉しあんで汁気があるものが「おしるこ」、汁気のない粒あんのものを「亀山」などという呼び名で違いを区別しています。
そしてこれらの違いは、すでに江戸時代後期の風俗誌にぜんざいとおしるこの説明が書かれています。
おしることぜんざいの味の違いはさまざまなアレンジの広がりによって表現されているので、それぞれの魅力の違いを楽しんでみたくなります。
おしるこやぜんざいの違いを引き出した商品を展開するメーカーの有名アイスから、地方食の中でも個性で違いを見せる名古屋名物、手軽なドリンクまで、おしることぜんざいの違いを試したくなるアレンジメニューを紹介します。
ぜんざいをおしるこで固めたような!? 井村屋あずきバー
ぜんざいのような粒あんがぎっしり詰まった、丸永製菓あいすまんじゅう
北海道産小豆のおしるこをビスケット生地でサンド。松永製菓しるこサンド
ぜんざいがたっぷり! 名古屋名物の小倉トースト
“飲む”おしることぜんざいとして味の違いが楽しめるドリンク缶
おしることぜんざいの違いは、関東と関西で異なることがわかりました。また、おしるこは「お汁粉」と書くように、見た目でネーミングされた食べ物だということも想像できます。
普段おしることぜんざいの違いなど気にしたことはなかったかもしれませんが、江戸時代の昔からおしることぜんざいの違いが記されていたことを知ると、おしるこやぜんざいの味わい方も少し変わってくるのではないでしょうか。
それぞれの呼び名の違いに思いを馳せながらゆっくり箸を運べば、味の違いにも納得しそうです。
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