好んで食べていても知らなかった!? おしることぜんざいの違い
2016/03/17
ショコラん
2016/03/24 更新
寒い冬に食べるととても美味しいぜんざいとおしるこ。ぜんざいとおしるこ、どっちが好き?と聞かれて、はたと気づいた。ぜんざいとおしるこの違いってなに?あんこの違い?それともお餅が違う?実は地域によって呼び方も変わるという、ぜんざいとおしるこの違いに迫ってみました。
「ぜんざい」も「おしるこ」も、基本的に餡と餅の組み合わせです。
ただ汁気があるかないかの違いで呼び方の違いになっています。
しかもそれが、関東と関西という地方による違いにもなっているのです。
この違いは、江戸時代にはすでに関東と関西で存在していました。
関東のぜんざいは、汁気のない餡を餅にかけたものです。
江戸時代、江戸には「自在餅」というものがありました。これは餡を餅の上につけたものだったそうです。
今の関東のぜんざいと同じですね。
関東とは違い、関西のぜんざいは粒あんで作られた汁入りのものです。
関東はおしるこに種類があります。
こしあんを使ったものを「御前汁粉」、粒あんを使ったものを「田舎汁粉」または「小倉汁粉」。
餡子の違いでおしるこでも呼び方が変わります。
関西ではこしあんで作られた汁入りのものをおしること呼びます。
明治時代後半、関東のおしるこを百貨店の食堂で提供し始めたことがきっかけで、関西でもおしるこが広く知られるようになりました。
中には「漉し餡のぜんざい」と呼ぶ人もいるそうです。
関西では汁なしのものを亀山と呼びます。関東のぜんざいと同じタイプですが、呼び方は違います。
どうして関西ではこれを亀山と言うかというと、2つの説があります。
1つは地名に由来する説、もう1つがお店の屋号です。
1つ目の地名に由来する説とは、上質な小豆の有名な産地が丹波の亀山だから、というものです。
もう1つの屋号説というのは、岐阜県小屋名(現在の関市)出身の亀山さんが、大阪の天満で開店した餅屋の名前が「亀山屋」で、ここで小豆をつぶしていない田舎ぜんざいを作って売ったら大繁盛した、というものです。
商品名がいつの間にか屋号で呼ばれるようになった、ということは現代でもありますから、どちらかといえばこちらの説の方がしっくりきます。
その理由を、まず「ぜんざい」の語源から見ていきましょう。
ぜんざいの語源も2つあります。
1つは「善哉」説と、もう1つは「神在餅」説。
1つめの「善哉」説とは、仏教用語の「すばらしい」を意味する「善哉」を由来とする説です。
トンチで有名な一休和尚が、ぜんざいを食べて「善哉々々」「善哉此汁」と言ったことから「ぜんざい(善哉)」と呼ばれるようになったと言われています。
一休和尚は室町時代の禅僧です。室町時代に掛かれた文献に「ぜんざい」の記述があり、関西では室町時代中期ごろから食べられていたと考えられています。
つまり、歴史的にはぜんざいの方がおしるこよりも古いわけです。
その発生した時期の違いも、ぜんざいとおしるこの呼び方の違いに影響があるようです。
さてもう1つの「神在(じんざい)餅」説とは、出雲ぜんざい学会に説明があります。
ぜんざいは、出雲地方の「神在(じんざい)餅」に起因しています。
出雲地方では旧暦の10月に全国から神々が集まり、このとき出雲では「神在祭(かみありさい)」と呼ばれる神事が執り行われています。
そのお祭りの折に振る舞われたのが「神在(じんざい)餅」です。その「じんざい」が、出雲弁(ずーずー弁)で訛って「ずんざい」、さらには「ぜんざい」となって、京都に伝わったと言われています。
「ぜんざい」発祥の地は出雲であるということは、江戸初期の文献、「祇園物語」や「梅村載筆」(林羅山筆:儒学者)、「雲陽誌」にも記されています。
この神事の際に食べられていた「神在餅」(小豆雑煮)の食べ方が、「ぜんざい」となって広がり、また呼び方もじんざい餅からずんざい餅、ぜんざい餅と訛って京都に伝わってしまい、そこからぜんざいと呼ばれるようになったということですね。
江戸時代、宴会の後に出される「汁物」に小豆の粉を水と団子を一緒にいれて煮込んだ「すすりだんご」というものがありました。
おしるこはこの「すすりだんご」が始まりだと言われています。
やがて「すすりだんご」は、小豆の粉から作られていることから「おしるこ(御汁粉)」と呼び方が変わっていきました。
江戸時代になって、関西からぜんざいも伝わってきましたが、江戸にはもともと「自在餅」というものがあり、ぜんざいは「自在餅」の間違いでは?ということで、正しく伝わらなかったとも言われています。
また江戸ではぜんざいよりもおしるこの方が人気がありました。
さらっとした口当たりのおしるこの方が、江戸の人の口に合ったのでしょうか。
ぜんざいが関西から正しく伝わらなかったのであれば、それも仕方ないのかもしれません。
つまりぜんざいとおしるこの違いは、情報が正確に伝わらなかったことに起因していると言えるのかもしれません。
そもそもぜんざいは、主に小豆を砂糖で甘く煮て、その汁の中に餅や白玉団子、時には栗の甘露煮などを入れて作ります。
一方おしることは、「こし餡」または「つぶ餡」を水で溶いて煮て汁を作り、そこに餅などを入れて作ります。
つまり餡子を先に作るかどうかも、ぜんざいとおしるこの違いであるわけです。
ぜんざいとおしるこの違いは、ぜんざいが西から東へ広がる過程で正しく伝わらず、またもともとその土地にあった食べ方が影響してしまったから起こった違いと言えるようです。
ぜんざいにしろおしるこにしろ、餡子プラスお餅の食べ方に違いないわけで、呼び方の違いなんて関係ないと言えば関係ありません。それでもその違いにこだわる人もいるから、いまだにぜんざいとおしるこの違いは?という話になるのでしょう。
違いなんてあるの?なんて難しいことなんて考えずに、夏は冷やしで、冬はあつあつのぜんざいやおしるこを食べてほっと一息つくのが一番いいですね。
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