2016/05/30
みやもん13
ハンバーグを作るとき、つなぎには卵とパン粉を使う人がたくさんいますよね。ではなぜハンバーグのつなぎには卵とパン粉が必要なのでしょう?卵とパン粉をつなぎに使わなければ、どんなハンバーグができるのでしょうか?ここではハンバーグとつなぎについてご説明します。
ハンバーグと言えば、肉汁がジュワーっとあふれてくるのをイメージしますよね。子供から大人まで大好きなハンバーグは、ひき肉や玉ネギさえあれば、誰でも簡単に調理できるのですが、その「理屈」を知ればもっともっと美味しく作ることができるのではないでしょうか?例えば、ハンバーグを作るときに必要な「つなぎ」。なぜハンバーグには「つなぎ」が必要なのでしょう?疑問に思った事はありませんか?
実際のところ、「100%ビーフ」のハンバーガーのパテには卵が使われていません。でもどうして家で作るハンバーグには「つなぎ」を使うのでしょう?実は「つなぎ」に卵を使うのは、日本独自の方法だと言われています。そのため、欧米では「つなぎ」に卵を使わないのが普通なのです。
欧米のハンバーグでは「つなぎ」に卵を使わないのに対して、なぜ日本のハンバーグには「つなぎ」に卵を使い始めたのでしょうか?その理由は卵の栄養と価格にありました。卵は完全栄養食品と言われるほど栄養価が高く、卵黄・卵白に含まれるタンパク質には必須アミノ酸がバランスよく含まれているのです。ハンバーグが日本の食卓に並び始めた昭和時代、100%牛肉のひき肉は贅沢品なので、牛肉よりも安価で栄養価の高い卵を入れたのがきっかけだとも言われています。
卵を「つなぎ」に使うことで、卵はひき肉同士をつなぎとめる“接着剤”代わりにもなります。卵にはタンパク質がたくさん含まれていますが、タンパク質の性質として温度が上がると凝固します。卵黄のタンパク質は約65度、卵白は75度を超えると凝固する性質を持っています。そのため、ゆで卵も茶わん蒸しもプリンも固まりますよね。ハンバーグの場合で言えば、ハンバーグの内側から肉のうま味が流出しないように、卵の凝固力が重要な働きをしているとも言えるでしょう。そう、あの肉汁がジュワーっとあふれ出るのは、実は卵のおかげとも言えるのです。卵には保水性があるため、卵をハンバーグの「つなぎ」に使うことで、肉本来の食感と共にふわっと軟らかく弾力のあるハンバーグに仕上げることができるのです。
ではなぜ欧米ではハンバーグの「つなぎ」に卵を使わないのでしょうか?欧米では、実は柔らかいハンバーグにはなじみが無いのです。そのため、和牛ひき肉に「つなぎ」として卵を使ったハンバーグを食べた子供が、「このハンバーグ、腐ってるよ!」と言ったそうです。欧米では、肉は脂身が少なく硬いのが当たり前なんです。だから食べた瞬間の「肉汁がジュワー」っと出てくる感覚にはなじみが無いのです。
では、ハンバーグを作るときに「つなぎ」として使う、パン粉についてはどうでしょう。パン粉にはどのような役割があるのでしょうか?実はパン粉も重要な「つなぎ」にはなるのですが、こちらは接着剤としての役割はあまりありません。パン粉を牛乳に浸し、またそれを搾って混ぜることで、卵同様に成形しやすくなります。また保水性もありますので、接着剤代わりと言うよりは、保水性や成形のしやすさのために使うようなものなのです。こちらも欧米ではハンバーグを作るときには使わない「つなぎ」で、日本独自のものだと言えます。
お欧米で使われる「つなぎ」としては塩なのです。塩が「つなぎ」になるの?と思われるかもしれませんが、欧米では基本的にひき肉に塩のみを混ぜてよく練り合わせます。塩には、肉(タンパク質)を分解・溶解する作用があり、よく練り合わせることによってヌルヌルとした粘り気が出てきます。肉の中には繊維タンパク質と呼ばれるものがあり、塩を入れると粘り気が出てきます。その粘り気が肉同士の結着性やうま味を逃さないための保水剤の役割をしているのです。
その他にも塩は焼くときも大いに貢献していると言えます。塩は、熱を加えるとタンパク質を固める効果があり、ハンバーグに入れることでハンバーグ自体が崩れにくくなります。通常、魚や肉を焼く直前に塩を振るのも、表面を適度に固め、内部のジューシーさを逃さないためなのです。そのため、欧米のハンバーグでは「つなぎ」には塩のみを使っていることが多いのです。
最後に、よりふっくらとしたハンバーグを焼くコツをご紹介します。よりふっくらとうま味たっぷりのハンバーグをを作り出すコツは、まずフライパンで両面を軽く焼いたハンバーグの下に、薄く切ったジャガイモやニンジンを敷くことにあります。ハンバーグを底上げして鉄板と肉の間に空間を作ることでハンバーグに直接熱が伝わらず、ふたをすると蒸し焼き状態になりますよね。そうすることで、まるでオーブン料理のような軟らかな焼き上がりになるのです。ぜひ一度試してみて下さいね。
いかがでしたか?ハンバーグに使われる「つなぎ」には、日本と欧米とでは違いがありましたね。日本ではより柔らかくジューシーなハンバーグが好まれるのに対して、欧米では歯で噛みちぎるのが当たり前なのです。また、日本では「つなぎ」には卵とパン粉が一般的なのに対し、欧米での「つなぎ」には、塩のみが使われていることも、意外ですよね。食文化の違いによって、作り方や「つなぎ」の材料までもが変わってくるのですね。ハンバーグ=柔らかい、肉汁があふれ出るもの。と言うのは、日本独自だと言うのも驚きですよね。
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