2016/02/22 更新
- 飲食店(525)
火鉢の灰を調べていたら、何とも美しい日本を発見しました!
火鉢でお餅を焼いた記憶なんて...今の人には分からないですよね。ほとんどがオーブンでチンですから。祖父の部屋で私はあるんですよ!灰の中に落として泣いたり、火鉢の隅に頭ぶっつけたり、灰を撒き散らして叱られたり...懐かしい思い出です。
日本には「火鉢」という文化があります。
実は、家の物置にもありました!灰は残っていないのですが「切り株の火鉢」と「陶器の火鉢」
そういえば...小さい頃おじいちゃんの部屋にあったような?
瀬戸火鉢
陶磁器製
近年に低コストで量産されたので圧倒的な普及率でした。
今でも庭先で金魚鉢や植木鉢にされているものをよく見かけますね。
工芸品として価値の高い品も多くあります。
主に銅・真鋳・鉄・ジュラルミンなどの金属性で、比較的高価なものが多いです。
銀や錫など高価な素材も使われます。
長火鉢
関東長火鉢
旦那衆に愛された関東長火鉢。
関東長火鉢は、上座、下座の区別が明確で、上座から引き出しが使えます。
下座に座る時は旦那にご褒美をいただけるか、キセルで頭コツン!のどちらか・・・。
関西にも関東長火鉢は意外に多くあり、全国的には関東長火鉢の方がかなり多いようです。
関西長火鉢
関西長火鉢は四方に人が座れるものも多く、上座・下座の意識も少なく、
「餅でも焼いて食べまへんか~」という関西らしいノリです。
今ではこれを原型にした「囲炉裏テーブル」が普及しています。
「囲炉裏テーブル(正確には火鉢です)」といった、囲炉裏のイメージで作られたもの。
本来は囲炉裏より火鉢の方が文化的なのですが...
箱火鉢
板組みの四角い小さな火鉢です。
軽量で移動性がよく、家庭の個室や旅館・飲食店でこの火鉢はよく使われていました。
箱火鉢というか、小火鉢というか
耐火のため内側が土で作られた火鉢です
くり貫き火鉢
切り株をくり貫いて、内側に銅板を貼ったものです。
樹種は様々ですが、昔のものは今では入手できない大木で作られているものが多いです。
蒔絵火鉢の多くも、くり貫きです
大火鉢
どのような形状でも大きければ大火鉢と言えるでしょうが、一般的には大勢で囲炉裏のように囲む火鉢を指します。
現在では囲炉裏テーブルと呼ばれることが多いですが、本来的には火鉢(移動可能な家具)です。
大名火鉢という呼称がどれだけ一般的か疑わしいですが、意匠に凝ったゴージャスな火鉢です。
公家・武家など身分の高い人、お客様用の火鉢です。
手あぶり火鉢
大火鉢に対して小さな火鉢の総称で、主に手先を使う仕事をする時に、横に置いて使う火鉢です。
小さいため火鉢の素材と炭火が接近するので、耐火性のある陶器や金属性のものが多いです。
灰の模様は無限大。
火鉢や囲炉裏には、このようなお目出度い模様も描かれたはず。
文字を習うため、灰に字を書いて黒板代わりも使われていました。
火鉢には昔から多くの場合、木灰が使われます。
木灰は美しい模様が描け、炭火の灰と同質のため、いつまでも変化せずに美しく保てるためです。
灰模様の面白さは、当たり前のことですが上書き優先で、下が消えることではないかと思います。これにより特有のパターンが生まれます。
灰ならし:直線交差
角度の違いで表情が変わります。
灰ならし:波模様
灰ならしとして昔からよくある模様ですが、もっと定期性を持たせると様々な表情に変わります。
灰ならし:組み合わせ
灰ならし、これこそ無限大に広がるパターン。
灰ならしのほんの一例にすぎません。
灰ならしに流儀などないのですが、誰もが竜安寺石庭のような模様を描いたり、
箱庭のように遊んだりと、やはり日本人に向いているようです。
木 灰 (もくはい)
昔から多くの囲炉裏・火鉢で使われてきたのが木灰です。
木や木炭を燃焼させると木灰になりますので、もっとも自然な形かと思います。
囲炉裏や火鉢の灰に求められる、断熱性・火力調整・美しさなど、性能面でこれに勝る灰はありません。
この12種類の木灰は全て、カシ(ウバメガシ)を原木とします。
燃焼温度、時間、酸素量などにより、こんなに色や質感が変わるのです。
セラミック灰
灰の代用品です。七輪の材料、珪藻土の粉を焼成したものです。
砂浜の砂を軽くしたようなもので、サラサラしていて手や衣服も汚れません。
炭火の燃焼具合も良好で、ローコストで掃除しやすいため飲食店でよく使われます。
藁 灰わらばい
藁灰はフワフワで五徳や竹串を支えることができません。
炭火も潜り込み、浅い炉は加熱して危険なこともあります。
断熱性・保温性に優れますが、逆に炭火の火力をセーブすることができません。
もちん灰模様は描けず、すこしの風で舞い上がります。
黒い繊維(藁の炭)が残っていると、煙や臭気がでます。