2016/04/05 更新
からしの原材料はなんでしょう?いろいろあるけどみんな同じなの?
和からし、洋からし、マスタード。からしにはいろいろ種類があるけど、その違いは分かりますか?そもそもからしの原材料はなんなんでしょう?当たり前に使っているのにあまり知られていないからしの原材料から、世界で作られている調味マスタードまで、いろいろ探ってみました!
からしの原材料は、セイヨウカラシナの種子(マスタードシード)です。
春の食卓に登場する菜の花も同じアブラナ科の植物ですが、あちらはセイヨウアブラナという種類になります。
そして、セイヨウカラシナには種類があります。
● オリエンタルマスタード
● ブラウンマスタード
● イエローマスタード
● ホワイトマスタード
● ブラックマスタード
この5種類は、栽培品種で2つのグループに分けられます。
● ホワイト種(ホワイト、イエロー)
● ブラック種(オリエンタル、ブラウン、ブラック)
それぞれに香りと辛み成分に特徴があり、これらがからしの原材料となります。
原材料のオリエンタルマスタードシードから、まず油を搾り、その後乾燥させ粉末にしたものが、粉からしです。
粉からしを原材料としてぬるま湯(40℃)を加え、練ったものが和からしになります。
そもそもマスタードシードには約40%の油分が含まれていて、そのまますり潰すとペースト状になってしまうため、粉からしを作るには、まず最初に殻をむき、油を搾ってから粉末加工します。
ただし、福井県の麩市の地がらしは、秘伝製法を用いて丸ごとそのままを原材料とし、種子を粗挽きにしているため、茶色と黄色の粒が混ざったからしになっています。
和風ねりからしとねりからしの違い
和風ねりからしは、原材料が和からし(オリエンタルマスタード)のみで作られているため、辛味が強烈です。
一方ねりからしは、原材料が和からしと白からし(イエローマスタード)のブレンドのため、辛味が幾分マイルドになっています。
洋からし(白からし)の原材料は、イエローマスタードまたはホワイトマスタードの種から作ります。
和からしに比べて、辛さは控えめです。
和からしの辛さはワサビと同じ
和からしの種に含まれている、苦味成分(シニグリン配糖体とミロシナーゼ酵素)をすり潰し混ぜ合わせ、さらに水分が加わることで、辛味成分となるアリルカラシ油ができます。
実はワサビの茎にも同じ苦味成分が含まれ、刻んだりすりおろすことで、同じくアリルカラシ油ができます。
この辛味成分は揮発性があるため、ワサビも和からしも、食べたときに鼻にツーンとくる感覚があるわけです。
洋からし(マスタード)はマイルドテイスト
一方、洋からし(マスタード)は、ホワイトマスタードあるいはイエローマスタードを原材料としています。
ホワイトマスタードやイエローマスタードに含まれる苦味成分(シナルビン配糖体とミロシナーゼ酵素)は、すり潰し練って水分を加えることで、辛味成分となるベンジルカラシ油ができます。
このベンジルカラシ油も揮発性ではあるのですが、アリルカラシ油よりも揮発性も辛味成分も弱いため、和からしよりもツーンとくる感覚が少ないわけです。
原材料がブラック種(ブラックマスタード・ブラウンマスタード)のもの
フレンチ・マスタード:ディジョンマスタード
フランス・ディジョンの伝統的製法で作られた、マスタードの代表格。
本場フランスでは原材料や使用する液体の種類などが法律で規定されています。
原材料はブラックマスタードのみ、あるいは油分そのままのブラウンマスタードを粉砕、ろ過して作られたマスタードのみを使用します。この原材料に、塩・スパイス・白ワイン・ベルジュと呼ばれる未熟なブドウ汁を混ぜて作ります。
独特の芳醇な香りと、和からしに似た強い辛味が特徴です。
フレンチ・マスタード:モーマスタード
原材料のブラックマスタードあるいはイエローマスタードを潰したものに、酢と香辛料を混ぜたものです。
パリ近郊・モー産のモーマスタードとして、ポメリ社のものが有名です。
原材料から殻を取り除かずそのまま潰しているため濃い色をしていますが、辛さはディジョンマスタードよりも弱めです。
原材料がホワイト種(ホワイトマスタード・イエローマスタード)のもの
アメリカンマスタード
原材料はホワイトマスタードまたはイエローマスタード。白ワイン、砂糖、酢を混ぜて、ウコンで着色したもの。
マイルドな辛味で爽やかな味です。
スパイス商人だったフランシス・フランス氏がアメリカンマスタードを開発した、フレンチーズマスタードが始まりと言われています。
イングリッシュマスタード
原材料のホワイトマスタードシードとブラックマスタードをブレンドし、小麦、ターメリックなどを合わせて作ります。
ちなみに、イギリスでは黄色いからしをイングリッシュマスタード、色の濃い茶色っぽいからしをフレンチマスタードと呼ぶそうです。
日本の食卓に欠かせないチューブ入りタイプ
チューブ入りのからしは、エスビー食品が日本初だそうです。
それまで粉からしが主流でしたが、原材料を粉末の状態で提供するのではなく、練りタイプにして、チューブに詰めたものを発売したのが1970年。
いまではすっかり食卓に欠かせないものとなりました。
ただし、このチューブタイプは練る手間を省く分、香りや辛味を保つために、原材料以外にいろいろな食品添加物が加えられています。
手間を省く代わりに食品添加物を摂取する。
健康のためなら、原材料のみで作られている粉からしを練った方がいいですね。